広い面積を有した北海道の産業経済発展は、巨額の公共投資による道路基盤整備、特に大規模構造物が主体をなして今日に至っております。広域でかつ寒冷地域では道路交通の依存度が高く、道路網の維持や保全はこれからの北海道産業経済発展の命脈であり、地域住民の生活や地域間経済の発展に深く密接しております。

 近年の社会情勢や住民意識の変化から、来るべき時代へ向けてより質の高い生活環境と道路環境整備が求められ、また道内道路網の要である鋼道路橋の設置数は数千橋におよび、鋼構造物も含め腐食による経済的損失の低減は不可欠な問題であります。これらの維持保全は防錆塗装を主体とした事業がその一旦を担い、鋼構造物、鋼道路橋と周辺地域環境の調和など、極めて重要な防錆防食事業を推進して参りました。

 防錆塗装は、その時代の要望や目的に沿って防食技術を結集し、経済性に考慮した塗装系が採用されて今日の新しい塗装系へと進化しております。健全に鋼構造物の防錆塗装を維持するためには、適期な補修や塗替え塗装は必要な事業あり、これらにともなって廃棄される塗膜有害物の評価判定や塗膜除去の技術、塗膜除去後の処理等の総合的な技術による環境保全は、鋼構造物の維持保全には欠くことのできない防錆防食事業の新しい技術であると考えております。

 国際的に環境汚染防止や省資源化など自然環境保全の要求が高まる中、環境汚染を防止するための総合的な研究開発は、業界の社会的責務と考え、現在、本道における塗膜有害物による環境の汚染防止を最優先した独自の研究開発を行い、鋼構造物の適切な維持保全の進展及び防錆防食、環境保全に係わる技術継承のための指導育成を図ることで建設業界全体の発展に寄与し、社会公共の利益に貢献しようとするものであります。
 この趣旨をご理解頂き、格別のご指導を賜りますよう念願する次第であります。

平成18年6月